それでは、3番目の首都直下大地震に対する減災対策について進みます。順番を入れかえて、(2)の地域防災計画策定における被害想定と復興計画を加味した減災戦略についてというところでございます。

首都直下というこの被害想定は、昨今のニュースですと震度6強から7というところで、総括質疑でも話が出ましたけれども、見直されるということになりましたけども、予算では、地域防災計画の修正費で80万かかります。現在、区が進めている中野区の地域防災計画の改定作業、これにどういう影響があるのか。スケジュールが変わるのか、また、想定見直しに対して区はどういう考えでこれに臨んでいくのか。現在、都がもうすぐ発表しようとしている被害想定を含めてお示しをいただきたいと思います。

○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当)
東京都の地域防災計画、これにつきましては、当初、夏ごろというようなお話もありましたが、ことしの秋ごろに修正される予定と聞いております。中野区の地域防災計画の修正につきましては、区の防災会議等での協議検討を行いまして、区の修正内容を踏まえまして、来年度内に修正を行いたいというふうに考えております。また、国のほうも被害想定を見直すというようなお話を聞いております。それに基づきます国の防災基本計画の修正は平成25年度に行われる予定であるというふうに聞いております。

しかしながら、東京都は東京都の出す被害想定に基づいて、ことしの秋、先ほど申しましたことしの秋に地域防災計画を見直すこととしていると聞いております。被害想定につきましては、国の見直し内容を踏まえまして、再度見直しをするという可能性もあるとのことでございます。

区としましては、予定どおり平成24年度内に地域防災計画の修正を行いまして、25年度以降、国や都の動向でまた改めて必要が生じた場合には、再度の見直しを行っていくという予定でございます。

○高橋(か)委員
確認ですが、常にリニューアルをしていくということでよろしいんですね。秋以降については。

○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当)
地域防災計画、常に必要に応じて検討を行いまして、見直しを行っていくということでございます。

○高橋(か)委員
ぜひお願いいたします。

それでは、この地域防災計画改定版の平成23、今まさに改定をしているところなんですけども、その改定に向けて、今の現時点での最新版、23年修正版についてお伺いします。ここには復興計画の重要性というのが位置付けられておりまして、この防災計画によれば、復興の初動体制確立に際して、発災直後から1週間の間に復興計画をきちっと進めていく、こういうふうになります。ここで具体的な発災直後の非常に大変な時期ではありますけども、阪神・淡路大震災でも、5日後には隠密裏に役所の服を脱ぎ捨てて一般人の顔をして被害調査に走り、復興計画を立ち上げてきたと。それが今の復興につながっているという話を聞いておりますけれども、この復興計画を立ち上げる部局の仕事の中に、避難所の開設運営、それから救援・救護活動の実施、応急仮設住宅の建設というのが一緒に含まれちゃっているんですけども、これ、復興計画の立案部隊と実践部隊とを分けないと物理的にとても不可能であると考えるんですが、いかがでしょうか。

○佐藤都市基盤部副参事(防災・都市安全担当)
災害発生当初、区では災害対策本部を設置いたしまして、区民の生命・身体・財産の被害を最小限にするために、応急対策業務に全力を挙げて取り組むということになっております。その後、状況に応じまして災害対策本部体制を変更・縮小等いたしまして、復旧・復興業務や継続性の高い通常業務等に取り組んでいくというような流れになるかと思います。その際に、優先順位等を十分に踏まえた上で、それぞれの業務に必要な人員等を配置、配分していきたいと考えております。

○高橋(か)委員
24年度予算では地域防災の推進として、地域防災力の向上のための防災意識普及啓発や、地域防災組織活動支援、また防災訓練支援、総合防災訓練などで1,750万円もの予算計上されておりますけれども、今のこうした優先順位、被害想定を加味した優先順位をつけて、復興まちづくりを事前に準備していくということが行政主導で取り組むことが重要であると思いますけれども、そのためには地域の参加も不可欠であると考えております。事前震災復興訓練の実施が非常に重要ではないかなと思うんですけれども、こうした被害想定をもとに地区ごとで復興まちづくりを見据えて、平時の今からその事前の震災復興訓練というものを実施する考え方、区はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。また、今までにやった実績があるのか、お聞かせください。

○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当)
復興まちづくり、これは平常時からの地区の防災性を向上させるまちづくりの延長上にあるというふうに考えてございます。復興まちづくりの事前訓練を行うことは重要なことであると認識しており、毎年職員を、東京都が主催する震災復興模擬訓練に派遣し、具体的手法を学ばせているところでございます。現在、御指摘のような具体的な取り組みという例はございませんが、今後はそうした訓練参加で得た訓練手法なども踏まえて、区や地域、地域医療などを巻き込んだ訓練の実施のあり方などについて研究してまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(か)委員
被害想定のもとに、この地区が一番危ないから、皆さんやりましょうと、そんなことはとても言えないと思うんですけども、ぜひ行政マンが得た知識を防災講習のような形で出すとか、そこでたまたままちづくりを一緒に考えましょうといったところに、その被害想定を加味した復興、いわゆる机上訓練のようなことなりをぜひ進めていただきたいと思うんですが、こうした復興まちづくり、震災復興まちづくりに専門家、いわゆる都市計画担当であったり、防災担当であったり、まちづくりの専門家を参画させることで、万が一の発災の後の、もうぐちゃぐちゃになったまちを復興させるときの、いわゆる支援確保、協力というんですか、東日本大震災のいろんなマスコミのレポートを見ていても、大御所と言われるような学者さんだったりがすごく重要な役割を果たしていると思うんですけども、事前にそういう人を、つばをつけておくと言うと言い方は変ですけども、そういうものを進めていくというのも有効であると思うんですが、いかがでしょうか。

○相澤都市基盤部副参事(都市計画担当)
復興まちづくりに関しましては、御指摘のように専門家の支援なども得ながら進めていくことが重要であるというふうに考えてございます。平常時から防災まちづくり、地区のまちづくりを進めるに当たって、専門家を参加させることは必要なことと考えてございます。区では、地区まちづくり条例に基づいて必要な支援をしていきたいというふうに考えてございます。

○高橋(か)委員
それでは、次の、最初の1番の項目の建替え促進策についてお聞きします。

平成24年度予算において耐震化促進に2億9,200万円、地域まちづくり関連では2,890万円が計上されていますけれども、震災時における中野区の都市基盤の脆弱さというのは皆さん御承知のとおりだと思うんですけども、この被害想定から戦略を立てなきゃいけないという中で、阪神・淡路大震災がやはり一番参考例になると思うんですけども、6,300人以上の方の犠牲者のいろんなデータを見ると、建物倒壊が何といっても9割を超える形で多くて、そこから起因する火災というものもあるということを考えると、何によっても建物倒壊を防ぐ。耐震化というところがまずイメージが出てくると思うんですけども、この建てかえ促進策についてですけれども、平成23年10月に中野区地区まちづくり条例というのが具体的に進んでおります。こうした全体で地域に網をかけてやっていこうということだと思うんですが、中野の、都が発行している危険度を見てみると、実は城東・湾岸エリアのような建物倒壊のダメージのデータよりも、火災のダメージのデータのほうが多いというところがデータで出ております。これ、地盤が強いという中野の強みの結果だと思うんですけども、逆に言うと、耐震化というところはもちろん進めていくとしても、不燃化であったりしたものにも、燃えないまちをもっともっとイメージして進めていかなきゃいけないんじゃないかなと思いまして、この中野区地区まちづくり条例というのが昨年10月に施行されましたけども、具体的に計画が進んでいる地区はあるんでしょうか。

○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当)
中野区地区まちづくり条例に関しましては、23年の10月以降、まちづくり活動団体の登録、あるいは専門家派遣に関して数件御相談をいただいているところでございますけれども、現在のところ、この条例に基づきまして具体的な計画を進めている地区はございません。

○高橋(か)委員
それは、エリアをもっともっと絞っていくと具体的なものにつながっていくんじゃないかなというのは、私の個人的な考えなんですが、これは後ほどまた質問させていただきたいと思います。

先ほど私が申し上げた被害想定の関係ですけども、区において、建物倒壊危険度よりも火災危険度のほうが深刻であるという、このことを区はどのようにお考えでしょう。

○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当)
平成18年、東京都が公表しました首都直下地震による東京の被害想定報告書によりますと、東京湾北部地震によりまして、中野区では、条件いろいろございますけれども、条件によりましては、建物倒壊が約2,000棟、建物焼失が約2万棟に及ぶというふうな試算が出ております。極めて甚大な被害が想定されているということだと思います。中野区におきましては、燃えないまち、あるいは倒れないまち、さらには安全に避難できるまちの実現といったことが大きな課題であるというふうに考えております。

○高橋(か)委員
震災時の大火災で最も有効なのは、先ほどちょっと触れました建物の不燃化と延焼遮断帯としての道路や空地の整備、その実現のためには、小さな区画での建てかえ誘導が必須であると考えていますけども、例えばまちづくり条例において、それをさらに小さくする。そして、危険度の高い減災推進地区等という形に指定して、個別建てかえに際しては不燃化や耐震化、あるいは道路拡幅とか空地確保というような、震災時に減災上貢献するような指標をつくっていただいて、この基準を満たせば容積割り増し、斜線制限緩和とかの大幅な建てかえのインセンティブにつながるような形を推進するということが非常に有効であると私は考えますけれども、区の見解はいかがでしょう。

○田中都市基盤部副参事(地域まちづくり担当)
まちづくり条例の面積ということでございました。都市計画法で都市計画の提案制度は、5,000平方メートル以上というふうに規定をしているところですけれども、地区まちづくり条例の中で、区長が特に必要があると認める場合には、おおむね1街区に相当する3,000平方メートルに緩和できると、そういった規定を設けているところでございます。御提案の面積要件のさらなる緩和につきましては、今後の条例の運用状況を見ながら必要性を確認していきたいと思ってございます。

それから、もう1点でございますけれども、災害危険度の高い地区というのは、やはりいろいろな防災上の課題を抱えておりますので、区としましても、首都直下地震の切迫性ということを踏まえますと、木密地域の建てかえ、不燃化の促進が必要だというふうに考えております。ただ、委員御指摘のような、今、区で何がしかの地区指定を区が行って、さらに建てかえ基準をつくると。それだけで制限緩和を行うということは現行法上困難であるということでございます。街並み誘導型地区計画等のような法に基づくまちづくりのルールの導入が必要であるということであります。そういった制度を活用できますと、建てかえに対するインセンティブとなりますので、建てかえ促進につながるのではないかというふうにも思いますので、地区の特性ですとか、地区の皆さんの意向などを十分に踏まえながら検討をしていく必要があるというふうに思ってございます。

○高橋(か)委員
ありがとうございます。3,000平米という、区長の判断でとなりますけども、先ほどの数件相談があるというところにとどまっているのは、やはり面積が大き過ぎて、とても民間で調整し切れるエリアではないと思うんですね。今おっしゃるとおり、法的に用途・容積緩和というものがスポット的に基礎的自治体でできづらいというところであると、地区計画であったり、都が進めている不燃化事業であったり、網をかけなきゃいけないと思うんですけども、その網がけの中で被災ゾーンを決めて、想定の厳しいところを決めて、そこに個別の、先に先行発進していくような機動性のある防災まちづくりができないかというのを、都の関係部局ともぜひ進めていただいて、東京都も何といっても中野は防災上危険だという認識はあるはずですので、具体的な展開がいくように、ぜひ調整を進めていただければと思います。答弁は結構であります。

最後に、こうしたにぎわい・活性化がつながる新しい展開、そのベースに、何といっても生命・財産を守る安全というものは必須だと思っておりまして、区長の御見解を最後にお聞きしたいと思います。

○田中区長
本当にまちづくりの一番守るべき基本というのが安全・安心のまちづくりだというふうに思っております。先ほどの減災のお話も、減災復興まちづくりのお話もありましたけれども、阪神・淡路の例などでも、事前に復興計画に取り組んでいた地域では、実際に災害が起きた後の復興の動きがほかの地区に比べてうんと早かったというようなことを、専門家からも聞いたりしているところであります。区として、これまでなかなか進まない防災のまちづくりですけれども、さまざまな工夫を凝らしながら積極的に進めていきたいと、こう思っております。

○高橋(か)委員
ありがとうございました。

以上で私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。