○高橋(か)委員
それでは、このユニバーサルデザインの中での4番目の企画・設計段階での反映、推進部署というところに移りたいと思いますが、具体的にユニバーサルデザインを展開していくときに、一般質問でも述べましたけれども、いわゆるバイブルと言われている東京都の福祉のまちづくり条例に基づきます施設整備マニュアルというのがあります。要は、ここに書いてある数字を図面上、机上で当てはめていくことが果たしてユニバーサルデザインの実践なのかというところを私は問いたいと思っていまして、その企画段階から取り組まなければ意味ありませんし、完成後に手直しではコストはかかるし、結局、利用されないというのが最悪のユニバーサルデザインでありまして、こうしたマニュアルをさらに踏み込む、実際に利用されるための推進が必要だと考えます。
そこで、中野駅周辺整備を中心としたこの次世代型のユニバーサルデザインを推進するために、企画段階、設計段階から導入するために、障害者団体でも社会で活躍するといいますか、勤労者を中心とした障害者団体もありまして、あるいはユニバーサルデザインのいろんなコンサルとかの専門家もあると思うんですけれども、そうしたところをアドバイスを取り入れたり、あるいは一緒に現場を踏査するとか、そういう形で専門家の意見を反映して実践に進めていくということが必要であると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○松前都市政策推進室副参事(中野駅周辺まちづくり担当)
中野駅周辺のまちづくりで申し上げますと、区民や民間事業者、あるいは行政共通の指針となるべく、今、グランドデザインVer.3を検討しているところです。その策定に当たりましては、幅広い意見を伺うこととして、中野駅周辺まちづくり推進会議を設置しております。その委員の中には、福祉団体連合会からも委員として御参加をいただいているところです。ユニバーサルデザインやバリアフリーのまちづくりの御意見をちょうだいしておりまして、今後のグランドデザインの検討、あるいは具体的なまちづくりの中にもこれらを生かしていきたいというふうに考えております。
○高橋(か)委員
私が申し上げたニュアンスが若干違っていまして、中野区にある福祉団体連合会という団体、私も承知しておりまして、もちろんそうした団体の声を聞くというのはまず大前提なんでしょうけども、私が言いたいのは、さらに一歩進めた新しい、要は、インフラ、あるいはユニバーサルデザインをきちっと整備してさえくれれば、おれらは自由に動き回って、仕事も商売もお金も稼ぐんだよ、税金を落とすんだよ、そういう経済活動に積極的な社会的ステータスのある人たちも大勢いらっしゃるんですね。そういう人たちというのは、環境、インフラが整備されればそこを利用しますし、リピーターになれる。お金の落とす量も半端じゃありませんし、独自の全国ネットのネットワークも持っている。有名人もいるし、海外とのチャンネルもある。この四季の都市(まち)が新しく業務展開、商業展開していく中で、ぜひその、バリアフリーというと、ある一つの障害者団体連合会、そういうことじゃなくて、新たな、あるいは外国の、海外、欧米の障害者団体を呼んで意見を聞くとか、もう一つ脱皮していただければ、にぎわい・活性化の本当の現実味を帯びているところにつながるんじゃないかと思います。
それでは、確かに、今お話のあったグランドデザインVer.3とか、区の書類、あるいは各部局の事業説明の書類とかにも、スポーツ関係であったり、基盤整備であったり、ありとあらゆるところにユニバーサルデザインという言葉が、もちろんVer.3もそうですけど、ちりばめられてはいるんですけども、具体的にどう展開するのかというのがわからない。本当に検証が必要だと思いますし、10年後、20年後に利用できるものじゃないといけないと思っています。
そこで、きちっとそれがないと、幾ら駅周辺のまちができ上がったとしても、例えば、仮の話が出ましたけど、JRビルができたともし仮にしたら、ユニバーサルデザインで駅を中心に中野通りを挟んだ東西南北がきちっと回遊性が本当にですね、いわゆる図面上やコンセプト上ではなくて、現場へ行って本当になっていないと、駅ビルにみんな行っちゃうと思うんですね。地域商店街に人を呼び込むためには、現実的にユニバーサルデザインが実現されなければいけないと思います。
それに、中野は交通の便がいいというのは売りなんですけども、逆に言えば、回遊性がきちっとしていないと、JRに乗ってほかのところへ行ってしまうという危険もあるわけで、ぜひその辺、もう中野の勝負だと思って考えていただきたいと思っています。
区の次世代戦略を、この理念を実現させるために、私は区内の全部署に、このユニバーサルデザインの課を置けとまでは言わないんですけども、ユニバーサルデザインの担当を置くべきだと考えています。そして、区長部局のところに総合調整部門を置いて、各部局との横断的な調整であったり、企画戦略であったり、そうしたものをぜひ置いていただきたい。それで、大体そうすると啓蒙活動で終わっちゃうんですね。あるいは、何かイベントをやったときのイベントの事務局で終わっちゃうので、これからぜひ、駅開発で大企業が来ますし、そうした企業にはもちろん、グローバル企業ですから、外資系の人間もいるし、そうした人たちの反応であったり、アピールであったり、また大学、外国系といいますか、国際的な部局の大学も来ますし、そうした人たちのところは、外国人の人たちがふえてくると、当然サイン計画とかも出てくるわけで、そうすると区役所の窓口部門、届け出、あるいは納税というか、収納担当のところにもユニバーサルデザインを生かさなければいけないでしょうし、ぜひ全庁的な総合調整部門をつくっていただければと思っています。
時間がないのであれなんですけど(「だめだよ。答弁求めないと」と呼ぶ者あり)はい。それで、四季の都市(まち)が立ち上がるこのときには、ぜひこのユニバーサルデザインの積極推進を期待したいと思いますけども、ここで区長の御見解を聞かせていただけるとありがたいと思います。
○田中区長
この何年か、区のいろんな部署でいろんな仕事をしている中で、ユニバーサルデザインということは基本的に意識をされている、意識をしてやってきているとは思っておりますけれども、なかなか、実際には区民の皆さんや議員の皆さん、他から見た場合に、いかにも中途半端だなと、言うことは言うけども、現実にはどうなんだろうと、こういう印象じゃないかということは私、否めないんじゃないかなと、こんなふうに思っております。
窓口のつけ方、あるいはホームページだとか印刷物だとか、そういったようなもの一つとっても、ユニバーサルデザインというのはありますけれども、そのユニバーサルデザインにしていくために、一つひとつバリアフリーの取り組みをしていくというようなことをたくさん積み重ねなければ、やっていかなければいけないということがあるというふうに思いますけれども、このユニバーサルデザインということを大きく推進したり展開したり、大きく意識づけしていくということを考えていくと、やはり中野駅周辺のまちづくりであるとか、西武新宿線の沿線のまちづくりであるとか、大きなまちづくりをするときこそ、本当のユニバーサルデザインということが手がつけられるようになっていくと。それがまた本当に、まちに来た方が目を見張って、ああ、中野ってすごいなというふうに思っていただけるような、印象も、また実際の利用勝手もよくなっていくということにつながっていくと思っておりますので、本当に今の時期にきちんとユニバーサルデザインに向き合った取り組みというものをしていかなければいけないと、こういうふうに思っているところでございます。
○高橋(か)委員
ありがとうございました。非常に心強いお話をいただいたと思っています。
部局の方々、面倒くさがらずに、区のためになるプラス思考でぜひ積極展開をしていただきたいと思います。
最後に、この項の締めとして、私のつたない経験談を三つお話ししたいと思います。時間がないんですけど、どうしてもこれは言いたいので、お時間をいただきたいと思います。
私、結構病気したり、けがしたりして入院しているんですけども、例えば、手術した後に車いすで看護師さんが病院の中を連れて回してくれるんですね。そうすると、非常に快適で楽で、どこも行けてありがたいなと思うんです。これは多分バリアフリーの世界だと思うんですね。だんだん元気が出てきて、今度は自分で行こうと思ったときに、やっぱり今まで押してもらったら行けたところが、自分じゃ行けないとか、ちょっとしたものがあって入れない。そうなってくると、行くのが面倒くさくなって行かなくなるわけですね。こういうのを解消するのがユニバーサルデザインじゃないかなと思っています。
実は数年前、区役所からサンプラザ、それから、今はもう整備されてあれですけど、囲町公園から警察病院というのを車いすで実際歩いてみました。そうすると、ちょっと今、写真データが捜して見つからなかったんですけど、道路にバリアフリー、あるいは、たしか、この道路はユニバーサルデザイン道路ですというようなペインティングがしてあるんですね。その車いすの人と一緒に行ったんですけども、実際行ってみると、スロープをつけてあるだけで、傾斜がきつくて、なかなか普通のお年寄りの車いすで1人で上がれないとか、あるいは、ちょっと雨が降ってぬれていると、点字ブロックがあって滑っちゃう、あるいは振動で足が外れてけがしちゃう、あるいは雨のために、雨の対策で少し傾斜をつけているものだから、どんどん車道のほうへ車いすが流れていっちゃう。結局その人の結論は、これ、使えないよ、ここには僕、来ないよと、こういう結論になったんです。ですから、一つずつ、区長のおっしゃるようにやっていく中で、新しい声、意見を聞きながらやっていただければと思います。
巣鴨のとげぬき地蔵に私、行ってまいりましたけども、決して新しい施設をつくったわけでも、アーケードをつくったわけでもないんですけど、各個店、店一つずつに、その店が板を敷いて、完全にバリアをなくしているんですね。もちろんプロが施工したんでしょうけども、施設整備じゃないですね。あれは緑色の鉄板が敷いてあるだけですから。でも、それが商店街全部が、各店各店全部やっていて、結果的につえをついたお年寄りの人が自由に出入りして、乳母車のバギーの人も出入りしているし、健常者、若い人たちも出入りしている。これはユニバーサルデザインの一番の成功例じゃないかなと思って紹介をさせていただきました。ありがとうございました。
5ページ目:真のユニバーサルデザインにおける、アール・ブリュット支援について