二つ目の質問項目、首都直下地震に備えた、「中野減災まちづくり」の推進について、質問いたします。

マグニチュード7程度の首都直下地震の発生確率はこの30年間で70%と言われております。東日本大震災以降、その発生確率はさらに高まったと言われています。首都東京の中で防災上脆弱と言われている中野区にとって注目すべきことは阪神・淡路大震災の被害特性であると考えます。大規模市街地を形成する都市部での大地震は、都市機能を完全に破壊し、6,434名もの尊い命が失われました。神戸市の場合、亡くなられた方の96.3%が即死であり、また死因の83.9%が建物倒壊等が原因であると見られます。こうしたデータからも都市部での震災被害を最小限に食いとめる方策は建物の耐震しかないと考えます。その第一歩が民間の一般建築物の耐震化であり、東京都における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例であります。

さて、この制度を利用し、実際に耐震診断を行う際には、建物の確認申請書のうち構造計算書や構造図など構造関係の書類が必要ですが、昭和56年以前の対象建物ではこうした申請に必要な書類が不備な場合もあり、建物構造の調査・検討に大変な費用と時間を要します。

そこで、お尋ねいたします。中野区ではこうした申請時に構造関係の書類が十分でない場合の扱いについてはどのように考えているのか、あわせて想定される建物の件数や目標スケジュールをお答えください。

次に、耐震化に極めて有効な建てかえ誘導策として申し上げます。耐震化の中で建てかえの有効性はだれもがわかっているのに進まない、その最大の理由はコスト負担にあります。中野区による助成ということに関しては、財政負担を伴うこと、また私有財産への公費投入ということで議論が生じます。

そこで、建てかえ誘導策として、先に述べました条例の区指定道路分を一時避難所や公共施設につながる生活幹線の区道にまで拡大するという中野独自の指定を提案いたします。これは、建てかえ助成に加えてのインセンティブとして、耐震化や道路、空地確保のための敷地提供など、防災機能の向上につながる公共性を要件として容積割り増しや、高さ・斜線制限など建設に係る規制を緩和し、共同化による建てかえを誘導するものであります。これは本年10月から施行されます中野区地区まちづくりの条例の制定理念にも合致することから、両制度を一体的に活用し、さらに弾力的運用をしていこうとする提案です。つまり、区独自の裁量により軽減される地区計画区域要件の3,000平方メートル、これはおおむね公式サッカーグラウンド2分の1に相当する広大な面積であり、中野区の場合は道路を挟んだインフラを含む開発となることや複雑な権利形態、その調整等で時間・コストがかかり過ぎます。そこで、この区域面積を基本としつつも対象区域を狭め、テニスコート3面分に相当する1,000平米を一つのまちづくり区画として、この中野区の条例に基づく都市計画による網かけをして、その区域内で公共性、防災性、そうした有益な個別建てかえについてはさらに小さなブロック単位で建築上の制限を緩和し、建てかえを誘導するという、いわば「減災なかのモデル」であります。この建てかえ誘導策につきましては区長の見解をお伺いします。

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